太陽エネルギーお役立ちコラム

太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度とは?

再エネ特措法(再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)が改正され、2022年7月1日より、太陽光発電設備に関する廃棄費用の積立制度が始まりました。

 

本コラムでは、制度の目的や積立費用、方法を詳しくご紹介していきます。

廃棄等費用積立制度とは?

まずは、「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度」とはどういった制度なのか見ていきましょう。

 

本制度は、10kW以上のすべての太陽光発電の認定案件を対象に、調達期間・交付期間の終了前10年間において確実な廃棄費用の積立てを担保するものです。

 

引用元:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について」

廃棄等費用積立制度はなぜ必要なのか

太陽光発電設備の廃棄処理の責任は、発電事業者等にあります。

以前より、太陽光発電設備の廃棄費用の積立てはFIT(固定価格買取制度) 認定条件として求められていました。しかし、積立費用や時期は発電事業者の判断に委ねられていたなど、多くの課題がありました。

 

再生可能エネルギーである太陽光発電が主力電源へとシェアが拡大している中、廃棄等費用を確保することは当然ながら必要となります。

発電事業の終了後、適切なタイミングで必要な資金確保ができず、放置・不法投棄されるのを防ぐため本制度が創設されることとなりました。

目的その1:有害物質の処理を適切に行うため

太陽発電設備は太陽光パネル、パワーコンディショナ、架台などから構成されており、太陽光パネルには有害物質(鉛、セレンなど)が含まれている場合があります。 これらを適切に処理することを条件に費用積立を行い、実施内容に応じた取戻しができます。

目的その2:発電事業者が変更や不在となった場合の義務継承のため

発電事業者が倒産した場合や、売電収入が債権者に差し押さえられた場合、廃棄費用の積立金が債権者に差し押さえられてしまい、廃棄資金の確保ができなくなる可能性があります。

そのため、売電収入から源泉徴収し、取戻しの要件を明確にすることが必要となります。

目的その3:積立費用の不足への対策

以前の方式では、積立費用の額はそれぞれの発電事業者の判断で決定されていました。中には、実際の撤去費用を正しく見積もれていないと思われる計画や、実施状況も散見されました。

 

2018年のFIT認定の際の事業計画策定ガイドライン改正では、事業用太陽校発電設備(10kW以上)に対し、廃棄等費用の積立てを遵守項目するとともに定期報告において積立ての進捗状況の報告を義務化しました。

 

しかし、2019年1月末時点の定期報告における積立進捗状況報告では、廃棄費用の積立実施事業者は2割以下という結果でした。

 

これらの積立費用の不足を対策するために、源泉徴収型の積立てである本制度が施行されました。

廃棄等費用の積立金額と方法

太陽光発電システムの稼働後10年目以降、FIT 終了まで発電量に応じた金額(買取金額から控除された解体等積立金額)を源泉徴収型で、買取事業者経由で電力広域的運営推進機関へ積立てます。

認定年度によって想定される解体等積立金額が異なります。

 

参考:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について」

積立方法は外部積立(認可法⼈である電⼒広域的運営推進機関)が原則で、例外的に一部事業者に限り内部積立が許容されます。一定の要件を満たした事業者のみ許容されるので、太陽光発電事業者の大半は外部積立制度となります。

 

積⽴⾦の取戻し条件・取戻し可能額

源泉徴収された積立金は下記の用途で使用する場合、取戻しの対象となります。

 

■卒FIT後に原状回復する場合

卒FIT 後に太陽光発電設備を撤去する場合 、「 発電設備の廃棄」を申請することで、全額受け取ることができます。

 

■卒FIT後も発電事業を継続する場合

撤去 するタイミングまで廃棄費用積立金は「電力広域的運営推進機関」に預けます。発電事業を継続する上で、太陽光パネルなど一部の設備を交換する場合、その分の取戻しができます。

 

■事業廃⽌や認定取消により解体等完了確認を受けた場合

取戻し時点において「電力広域的運営推進機関」に積み⽴てられた解体等積⽴金額分を取戻しできます。

 

取戻しの審査には、

・申請書

・印鑑証明

・産業廃棄物管理表

・撤去前後の写真

・解体、撤去の契約書の写し

など多くの書類の提出が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

義務化となった「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度」について、ご紹介いたしました。

10kW以上の太陽光発電事業者は、稼働後11年目からFIT 終了まで廃棄費用の積立てをし、事業終了のタイミングで申請することで、積み立てた金額分を取戻しできます。

 

2050年カーボンニュートラルの目標達成のためにも太陽光発電設備の普及拡大は不可欠です。適切な廃棄とともに再生可能エネルギーによる持続可能な社会を目指していきましょう。