太陽エネルギーお役立ちコラム
太陽光発電で電気代高騰対策ができる!?
2021年の9月から電力の価格高騰が続いており、大手電力会社などによる電気代の値上げが相次いでいます。この問題の対策として、太陽光発電システムの導入が一つ挙げられます。
企業の社屋や工場の屋根で創った電気を消費することで、電気の購入量を抑えられ、電気代高騰対策ができます。
本コラムでは、いま問題となっている電気代高騰とはどういう状況なのか、太陽光発電システムはどのような仕組みで対策できるのかをご説明していきます。
電気代高騰の今とこれから
電力単価の上昇
まず初めに、電気代が上がっている仕組みとして、電力会社で定められている「電力単価」が上がっている状況です。
「電気代」というのは、この「電力単価」に使った「電気使用量」を乗じて(電気代=電力単価×電気使用量)算出されています。
電力単価は変動するので、電力単価が上がれば、電気使用量が変わっていなくても電気代は高くなるということなのです。みなさんの暮らしの中でも、暖房などの空調機器を使用していないのに電気代が上がったなどと思ったことはありませんか?もしかすると、それは電力単価が上がっていたなどの理由があるかもしれません。
では、1年でどれくらい電力単価が上がっているのかを比較してみましょう。
2021年1月時点ではすでに電気代が上がり始めていましたが、さらに燃料調整費と再エネ賦課金が上昇し、購入電力単価が2022年では32.37円と1.68倍も高くなっているのが分かります。
料金メニューによってはもっと高くなることがあります。例えば、新電力で大手電力会社と契約を結ぶ場合には、市場連動型になるケースが多く、購入電力単価が40円近くになることもあります。
特別高圧・高圧(業務用)の料金メニューの見直し
昨今の世界的な資源価格の高騰や、ウクライナ情勢の影響により、燃料価格や電力市場価格がさらに上昇しています。この状況を踏まえ、東京電力では、特に電力市場価格の影響が大きい「特別高圧・高圧(業務用)」料金メニューの見直しが2023年4月にされることになりました。
電気料⾦⾒直しの概要(市場価格調整項を新たに導⼊)
< 現行 >
< 2023年4月以降 >
従来の「燃料費調整単価」が最新電源構成に更新され「燃料価格調整項」となり、「市場価格調整項」が新たに導入されます。
・ 燃料価格調整項※1については、2012年の特別⾼圧・⾼圧の料⾦改定時の前提から、情勢が⼤きく変化していることを踏まえ、電源構成と燃料価格を最新値に置き換え(図中⻘字箇所)
・ 加えて、卸電⼒取引所におけるスポット市場価格※2の変動を電⼒量料⾦に迅速に反映させるしくみとして、市場価格調整項を新たに導⼊(図中⾚字箇所)
・燃料価格調整項と市場価格調整項を合わせて、燃料費調整制度を燃料費等調整制度に見直し
新設される市場価格調整項とは
「市場価格調整項」とは、毎⽉の「平均市場価格」と「基準市場価格」の差額に、「基準市場単価」を乗じて算定したものです。
参考元:【東京電力】特別高圧・高圧の料金メニュー(標準メニュー)の見直し詳細について
① 基準市場価格…2021年7⽉〜2022年6⽉のスポット市場価格をもとに決定した市場価格調整項における価格変動の基準値
② 平均市場価格…算定期間における全⽇・昼間のスポット市場価格※1の加重平均値
③ 基準市場単価…平均市場価格が1円/kWh増減した場合に発⽣する電⼒量1kWhあたりの変動額
④ 換算係数δ1, δ2…卸電⼒取引所調達電⼒量および市場価格取引に準ずる電⼒量(FIT電気買取量含む)における全⽇と昼間の電⼒量構成⽐
平均市場価格とは
日本卸電力取引所(JEPX)が翌日の市場(スポット市場)の電力仕入価格を公開しています。この全⽇・昼間のスポット市場価格の算定期間における平均値が「平均市場価格」です。
2023年1月12日のスポット市場では、深夜0時時点で電力仕入価格が20円を超えており、暖房などの電気機器を起動し始める午前7時頃には25円となっています。日中には10円まで下がりますが、寒くなってくる18時頃には再び25円以上となっています。
ここまでで分かるように、市場価格自体がこれほどまで上がっています。なので、スポット市場価格の変動を電⼒量料⾦に迅速に反映させる仕組みとして、「市場価格調整項」が新たに導⼊されるということなのです。
2023年4月以降の電気料金について
東京電力の電気料金見直し前の業務用電力単価は、夏季17.54円、その他の季節16.38円だったのに対し、見直し後の4月以降では、夏季23.81円、その他の季節22.65円となっており、基準となる電力単価そのものが高くなります。
太陽光発電で可能なコスト削減
原価やランニングコストが安価
電気料金の費用内訳は、下記の図の「電力の原価」と、「設備の使用や法令にかかる費用」の合計となります。
託送料金とは、電気を送る際の送配電網の利用料金として一般送配電事業者が設定するものです。送配電部門における人件費、設備修繕費、減価償却費、固定資産税のほか、電源開発促進税、賠償負担金、廃炉円滑化負担金等が含まれます。
太陽光発電の場合の電力の原価は、太陽エネルギーから得られるためランニングコストはほぼかかりませんが、設備導入費用を相当額として考えた場合に13.1円とされています。
また、屋根で発電した電気を使えるため、電柱や電線を使う必要が無いので託送料はかかりません。
上記の通り、太陽光発電は原価や設備の使用等にかかる費用いずれも安く、現段階では最も安価に電力を調達できる方法だと言われています。
発電コストは下がっていく見通し
では、上述でお話しました太陽光発電の原価13.1円の根拠を見ていきましょう。
資源エネルギー庁が発表した資料では、2019年の発電コスト実績は1kWhあたり13.1円という結果でした。この発電コストとは、太陽光発電の導入・運用にかかる費用を法定耐用年数17年で計算した結果です。
2023年の発電コストは9.8円/kWhの見通しで、今後も下がっていくとされています。
ピークカットによる基本料金削減
もう1つ、太陽光発電の導入でコスト削減できることとして、「基本料金」が挙げられます。
電気料金は、「基本料金」と電力量料金で構成されており、
基本料金は「契約電力」で算出されます。
では、契約電力はどのように決められてるのでしょうか。
契約電力は、過去1年間の「最大デマンド=最も多くの電力を使用した30分の使用量」で算出されます。
この最大デマンド値がその後1年間にわたっての契約電力となります。
例えば上の図の場合、直近1年間のうち最も電気を使った時間帯がこの日の13時だったとすると、56.7kWが最大デマンドとなります。
この値が太陽光発電を導入すると、購入電力量を36kWまで下げることができるとともに、最大デマンドも低くなることで基本料金削減に繋がります。
つまり、基本料金は直近1年間で最も電気を使用した30分間の電気使用量(最大デマンド)によって決まり、月ごとの使用量で決まるのではないということです。
そして、多くの事業所は空調負荷が最大となる「夏の晴天日の昼間」に最大使用量を記録します。太陽光発電の導入で晴天日には、多くの電力が供給されるため、購入電力量を抑えることができるので、基本料金削減に貢献できます。
太陽光発電導入の際には、直近1年間の電気使用量を調べていただくとより正確なシミュレーションができます。販売業者に依頼をして事前にきちんと確認することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
いま私たちの暮らしに大きな影響を与えている電気代高騰の問題について、そして太陽光発電で可能な取り組みについてお話をさせていただきました。
太陽光発電は自然由来である太陽エネルギーの力を利用するので、環境に負荷をかけることがなく、また経済面でも大きな助けとなるはずです。
本コラムを参考にしていただき、みなさまの電気代削減のお力になればと思います。
投稿者プロフィール
花泉 美春マーケティング部
「誠実に、役立つ情報を分かりやすくお伝えする」ことをモットーに、日々コラムを発信しています。太陽エネルギーを取り入れた生活は、地球温暖化から皆さまを守り、持続可能な未来を手に入れるための最適な手段となります。お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。