ブログ BLOG

企業が導入する自家消費型太陽光発電システムの選び方

2015年のパリ協定における各国の排出削減への具体的な目標決定を受け、RE100(再生可能エネルギー100%での事業推進)や、SDG’sの取り組み中でも再生可能エネルギーの活用が求められるなど、世界各国で、民間、公共を問わず脱炭素社会へ向けた取り組みが加速しています。日本でも2050年のカーボンニュートラル(社会活動における二酸化炭素の排出をトータルで0以下にすること)を目指し、太陽、風力、水力などから得られる再生可能エネルギーの活用やこれを使用するための蓄電技術、また、水素を媒介したエネルギー貯蔵、運搬の仕組みなど多くの分野での研究、開発が進んでいます。

これからの時代を見据え、先進的な企業では事業活動に必要な電力を再生可能エネルギーから調達することに積極的に取り組んでいます。すでに100%の電力を再生可能エネルギーから調達している企業として、米スターバックス社や、米Apple社などがあげられます。

今後もこの流れはますます加速し、その影響はサプライチェーンに及び始めています。企業がまず取り組める再生可能エネルギーの導入として、導入実績も多く、費用対効果に優れる自家消費型太陽光発電システムが注目を集めています。

目次


自家消費型太陽光発電システムとは

自家消費型太陽光発電システムとは、発電した電力を設置された施設で最大限使用する為に最適化された太陽光発電システムを指します。使用されなかった発電電力をどのように取り扱うかによって、完全自家消費型太陽光発電システム、余剰接続型太陽光発電システムとより細かく分類することもあります。

表:自家消費型太陽光発電システムの種類
  • 名前
    電力の使用方法
  • 完全自家消費型太陽光発電
    発電電力が余らない(余剰電力が発生しない)ように太陽光発電システムを制御し、発電した電力は全てその施設で使用する仕組み。電力インフラの都合で系統へ電力を送ることができない(逆潮流不可)の地域で採用されることが多い。
  • 余剰売電型太陽光発電
    発電電力量を制御せず、余剰電力は電力系統へ流し、売電による収益とする方法。施設がある場所の電力インフラに余裕があり、売電先(FIT法の活用、民間企業)の確保ができる場合には、より経済性が高くなる。FIT法に基づいた売電を行う場合、補助金、税制優遇の対象とならないため注意が必要。

自家消費型太陽光発電システムの仕組み

自家消費型太陽光発電システムの機器構成

自家消費型の太陽光発電システムでは、施設の電力需給契約によって、接続に必要な機器、工事が異なります。

高圧受電契約の場合(キュービクルあり)

発電した電力はキュービクル配下の分電盤に接続されます。安全装置として地絡過電圧リレー(OVGR)の設置が必要です。また、逆潮流させない場合、逆電力継電器(RPR)の設置が必要となります。設置には数時間の停電を伴います。

特別高圧契約の場合

特別高圧契約の場合、高圧受電契約の場合と同様の対策を行った上で、特別高圧受電設備に接地形計器用変圧器(EVT)の設置が必要です。設置には3日から4日程度の停電を伴います。

電灯契約の場合

発電した電力は、電灯分電盤に接続されます。中部電力、東京電力では逆潮流の制限はないので、余剰電力はそのまま系統へ売電する接続がほとんどです。

自家消費型太陽光発電システムのメリット

CO2発生のない、環境価値に優れたクリーンな電力を使用できます。

太陽光発電で作られたクリーンな電力は設置した施設でダイレクトに使用でき無駄がありません。この効果を自社の排出削減効果として取り扱うことでESG、SDG’sなど企業の持続可能性を高める効果に活用したり、サプライチェーンとの取引への活用やクレジット化することで売買に使用することも可能です。

電力購入量の削減、電力使用にかかる費用の削減

自社の太陽光発電システムから生み出された電力は、電力会社や電力網を経由しないため、無料で使用できます。購入電力を置き換えることで電気購入量金の削減が期待できます。また、高圧受電でデマンドピークに基づく基本契約を結んでいる場合、太陽光発電システムの発電量が多くなる夏季日中にピークがあれば基本契約料金を下げる効果も期待できます。

遮熱効果による空調負荷軽減が期待できます。

太陽光発電モジュールが設置された屋根は、二重屋根効果により屋根の温度上昇を抑えることで、屋内への電熱を防ぐ効果が期待できます。当社の実験では真夏の日中でモジュール有無の効果は屋根裏面で5度程度期待できることが判明しました。

太陽電池モジュールの遮熱効果

蓄電池やV2Hシステムとの組み合わせで停電時も必要な設備を維持できます。

太陽光で発電した電力を貯めて使う蓄電池や、発電した電力をEVに充電することのできるV2H機器を併設することでもしもの停電時にも、あらかじめ選定した設備へ電力を供給することが可能です。

自家消費型太陽光発電システムのデメリット

設備投資費用、長期にわたる維持費用が発生する。

太陽光発電システムの設置には、設備費用、工事費用、さらに設置後も設備償却費用、固定資産税や点検費用、使用後の撤去費用などの維持管理費用が発生します。設備費用、工事費用といった初期費用は、1kWあたり14万円から20万円程度が相場です。国の補助制度などを活用することで負担の削減が期待できますが、導入に当たっては、維持費用についても十分な考慮が必要です。

上記設備についての費用、手間の負担を発電所を全て運営する第三者に依頼し、使用した電力料金として運営者へ支払う第三者所有モデル(PPA)方式での導入も推進されています。

令和3年度の自家消費型太陽光発電システム補助金

自家消費型太陽光発電システムは、現時点で最も経済性に優れた再生可能エネルギーの導入方法ですが、より導入を促進するための補助制度があります。

環境省補助金

令和3年度の自家消費型太陽光発電システム減価償却の特例について

令和3年に新設された「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」では、10%の税額控除もしくは特別償却50%が可能です。また、延長になった「中小企業投資促進税制」を活用することで自家消費型太陽光発電システムの初年度30%償却または7%の税額控除が可能です。同様に、「中小企業経営強化税制」の活用では100%の即時償却または10%の税額控除が可能です。

どの制度が適用になるのか、詳細は下記からご確認ください。

自社に最適な自家消費型太陽光発電システム選定のポイント

施設の事業規模に合った自家消費型太陽光発電システムを選定する為には、いくつかの要素について検討が必要です。こんなはずじゃなかった・・・。とならないためのポイントについて説明します。

使用電力量について

お使いの電力量計がデジタルメーターであるか、保安会社とデマンド計測の契約をされているのであれば、1年分のデマンドデータを取得し、施設の日中使用電力量を把握することから始めましょう。必要となる電力量を把握することで、過大な設備導入を避けることができます。ちなみに、当社では1時間ごとの年間発電量シミュレーションと30分ごとのデマンドデータを評価した結果を元に最適な太陽光発電システムの規模を設定しています。

屋根の大きさ、形状、方位、素材について

続いて、施設の屋根の大きさ、形状、方位、素材について検討します。図面上で、どの程度の太陽光発電システムが設置できるかはおおよそ確認できますが、この際ぜひ実際に屋根に登って確認して欲しいと思います。一般的な板金屋根の場合、15年から20年程度で葺き替えや塗装のやり直しが修繕として必要となります。また、空調機などの更新に伴い、屋根上に室外機が設置されている場合もあります。今の屋根の現実を確認していただくことで、太陽光発電システムの設置はもちろん、建物の寿命も伸ばすことが可能となるのです。

停電時の機能

停電時に必要な機器を選定し、電力を確保するための手段を選択します。日中の稼働が主な施設であれば、日中最低限の供給で賄える範囲で生かす機器を、夜間も電源を維持したい設備があれば蓄電池などのバックアップ機器の選定も必要です。より多くの電源の確保が必要であれば発電機などの併用も現実的です。太陽光発電が導入されていればバックアップ機能のアップデートはいつでも可能です。

電力会社への申請

太陽光発電設備を導入する場合、電気主任技術者と協議の上、電力会社への申請が必要となります。電力系統へ電力が流せる(逆潮流)かといった判断や、工事スケジュールによっては停電の手配も必要となります。期間は小規模な施設で3ヶ月程度から大規模な工場などでは9ヶ月程度かかることもあります。

事業認定申請

FIT法を活用し、余剰電力を一般送配電事業者へ売電する場合、事業認定申請が必要となります。申し込み後、6ヶ月程度の期間を要します。高圧受電設備を持つ施設で事業認定を取得し余剰売電を行う場合には、検討から稼働まで、1年程度の時間が必要だと認識しておく必要があります。

上記のように検討から実施まではさまざまなポイントがありますが、当社では全ての段階で可能な限りのサポートを提供します。ご安心してお任せください。

PPA(第三者所有モデル)で自家消費型太陽光発電システムを導入する。

設備費用がかからず、維持管理も専門家におまかせできるPPAモデルは自家消費型太陽光発電システムの導入おすすめ方法です。その仕組みとおすすめのポイントについて説明します。

PPA事業の仕組み

PPA事業の相関図

PPA事業では、「発電電力使用者」が活動する施設の屋根上に「設計・施工業者」が太陽光発電所を建設し、その所有、運営を「発電所運営者」がおこないます。発電所の所有は「発電所運営者」になるので、初期費用、維持管理にかかる負担は「発電所運営者」のものとなります。電力を使用する「発電電力使用者」は発電した電力を使用し、その料金を「発電所運営者」へ支払います。

使用電力量を計測する差分計量の仕組み

PPA事業で特徴的なのは、パワーコンディショナに接続される電力量計です。この電力量計は太陽光発電システムが発電した「総発電電力量」を計測し、既存の電力量計で計測した「売電電力量」を差し引いた電力量が「自家消費電力量」として、発電所運営者より請求されます。

また、発電所運営者は、常に発電所の稼働をモニタリングし、発電が正しく行われている状況を維持する為に、監視装置を導入します。

PPA(第三者所有モデル)の機器構成

PPA事業のメリット

発電電力使用者のメリット①初期費用がかからない。

費用負担は発電所運営者が行う為、初期費用は必要ありません。

発電電力使用者のメリット②維持管理の必要がない。

発電所の稼働状況により収益が変動する為、医女管理は発電所運営者が責任を持っておこないます。

発電電力使用者のメリット③決まった単価の電力を使用できる。

システムがついているのは施設の屋根上ですので、燃料の供給事情や、電力網の状態、再エネ賦課金などの外的な影響を受けることなく安定した価格の電力が供給されます。

PPA事業での自家消費型太陽光発電システム選定のポイント

他の電力供給サービスと分離して選択可能なこと

PPA事業のメリットの一つに、決まった価格での電力供給が可能な点があります。また、一般的にPPA契約は10年以上の長期にわたることがほとんどです。通常の系統電力購入とはまったくスタンスが異なる為、指定された電力会社との供給契約などとは切り離して導入することで、PPAのメリットを最大化することができます。

途中での機器買取ができること

PPA事業での太陽光発電システム導入は、初期費用がかからない為「導入してみて効果を確認する。」といった様子見の導入も可能です。キャッシュフロー的にすぐの導入が困難であっても、PPAであれば素早く脱炭素への一歩を踏み出せます。設備投資資金が確保できた段階で買取ができるオプションが設定されていれば、余裕のある時に効果がすでに明らかな既設の太陽光発電システムを買い取ることができれば、以降は、無料の電力をしよするといったことも可能です。企業の状況に応じた対応が可能な契約であればよりベターでしょう。

今回は、今話題になっている自家消費型太陽光発電について解説しました。太陽小発電システムはその導入しやすさから再生可能エネルギー普及の中心をになっていきます。発電した電力をどのように活用するか、日々新しいサービスが提案されています。